以前のお話で、お釈迦さまが存在していた2500年ほどまえのインドに存在していた思想家の紹介をしました。
今回はその続きとなります。
「六師外道」の一人にパグダ・カッチャーヤナという人物がいました。
この人物の思想は、今で言うところの「唯物論」とも言え、世の中のすべては7つの要素からできていると説きました。
その7つとは、「地・水・火・風・楽・苦・霊魂」です。
すべてはこれらの要素からできているというのです。
彼の思想は、前のお話で紹介したアジタ・ケーサカンバリンという人物と似ています。
アジタは、人間は「地・水・火・風」の4つの要素から出来ていると説いたようです。
現代では、物の要素として原子・陽子・中性子などを習いますが、当時の世界においては、当時に観察できる範囲において、それぞれ要素を考えていたのでしょう。
パグダは、これらの要素は、作られたものではなく、創造されたものではなく、山の頂きのように不動であると説きました。
すべてはこれらの要素の集合であり、「たとえ人が人を刃によって切ったとしても、要素と要素の間を刃が落ちていくだけであり、命を奪うことにはならない」と説きました。
そのため、善悪も果報もなく、修行も意味のないものであると示したようです。
また、「六師外道」の一人にサンジャヤ・ベーラッティプッタという人物もいました。
この人物は、つかみどころのない議論を行ったようです。
例えば、善悪の行いに報いはあるのかと問われるたとすると、「そうではないとも、そうではないのではないとも考えない」などと言い、物事を正しく理解することは不可能であることを示したようです。
そして「六師外道」の最後に、ニガンタ・ナータプッタがいます。
この人物は前に紹介したように、ジャイナ教の開祖とも言われました。
ニガンタは仏典に頻繁に登場し、批判的に描かれています。
仏教の集団とはライバル関係であったのかもしれません。
このように、お釈迦さまが実在した2500年前のインドには、お釈迦さま以外にも、さまざまな思想家が存在しました。
これら「六師外道」の6人の実際の思想の詳細は記録に残っていないためよくわかりません。
ここで紹介したものは、あくまで仏典に描かれている簡素な内容でありますので、仏教側にとって都合の良いものである可能性があると思われます。(当時は思想家や思想集団間の論争や争いも盛んであったようです。)
お釈迦さまは悟りるための修行をしていたとき、何人かの思想家のもとへ弟子入りをし学んでいます。
当時のインドにおいて、さまざまな思想家がお釈迦さまの前にも後にも存在していたようです。
その中で、お釈迦さまは様々な議論を他の多くの思想家と行い、おそらく多くの影響を受け、古来からあったヴェーダの宗教の思想を土台とし、お釈迦さまの教えは作られていったのではないでしょうか。