初期仏教のお話12 古代インドの「占い」

古代のインドにおいて、「占い」などはあったのでしょうか。

現代の日本においては、星占いや血液型占い、現世利益を求める儀式など、さまざまなものがあります。
神社などにおいても、手を合わせて願い事や祈願をされる方は多いと思います。
お寺やお墓などでも、そのようにされている方は、たくさんいらっしゃると思います。

古代インドの初期仏典には、当時の「占い」や「呪文」と思われる記述が出てきます(1)
どのようなものがあったのか、いくつか挙げますと

夢占い
ネズミが(人を)噛む場所による占い
鳥の鳴き声による占い
火への祈祷
悪魔払いの呪文
毒を消す呪文
蛇にかまれたときの呪文
宝石の様相による占い
衣服の様相による占い
剣の様相による占い
男・女性の様相による占い
少年・少女の様相による占い
奴隷の様相による占い
象の様相による占い

などなど、さまざまな「占い」や「呪文」が登場します。
このような「占い」や「呪文」などによって、生計を立てていた人々がいたようです。

またその他に、戦争を占ったり、星の動きや天候を占ったり、幸・不幸をもたらす呪文や火を吐く術なども登場します。
現代より多種多様な「占い」や「呪文」が登場します。

古代インドの人々は現代の私たちよりも、目の前の不可解な世界に対して、「占い」などを頼りに日々の生活を送っていたのかもしれません。

しかし仏典においては、出家者に対し、これら「占い」などはすべて「畜生の呪術」であり「邪悪な生活の営み」として離れるように、説かれています。
「占い」や「呪術」などにより「現世利益」を求めることは、仏典においては否定されています。

しかし同時に、それらをある意味で肯定するような文脈も多少登場しますし、後世の仏教の進展においては様々な考え方が登場します。

あくまで初期の仏典の基本的な考え方としては、出家者はこれら「占い」「呪術」などは邪悪な事柄として離れるように説かれています。
(在家信者に対してはどうであったのかは、よくわかりません。経典は基本的に、出家者に対して説かれたものであり、多くは出家者へ対して語る内容なのです)

(注・補足)
(1)Dīgha-Nikāya Ⅰ 13.

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