最尊寺は、仏教の寺院です。
仏教は、今から2500年ほど前、インドで誕生しました。
住職は若い頃、インドやチベットを巡っていました。
山の中で、尼僧がお布施も受け取らずに懇々と修行に励む姿を覚えています。
山中を歩く姿も、その面持ちの清廉さが印象に残っています。
現代でも、特にチベットや東南アジアなどでは、古来から続く仏教の姿を見ることができます。
住職は、仏教とはそもそも何であるのか、どのような教えなのかに興味を持ち、大学や大学院において経典(仏教の教え)を中心に勉強をしていました。
机上の話にはなりますが、ここではあくまで住職の視点(と興味)から、2500年前(紀元前500年)の初期の仏教(初期仏教)のお話を、分かりやすく紹介してみたいと思います。
初期の仏教を学びますと、現代まで連綿と続く、その後の仏教のことを、より根本から知るための一助となるかもしれません。
1.お釈迦さま
日本にはたくさんの仏教宗派があります(浄土宗・日蓮宗・真言宗・曹洞宗などなど)。
最尊寺は、その内の一つ「浄土真宗」の寺院です。
浄土真宗とは鎌倉時代に存在した「親鸞(しんらん)」(1173-1263)という人物が宗祖となっています。「親鸞」という方は「仏教」のお坊さんでした。
その「仏教」の始まりはいつどこか……と言いますと、約2500年前に、インド北部に存在したと推測される「ゴータマ・シッダールタ」という人物が元になっています。この人を「お釈迦さま」(仏, 仏陀, ブッダ)などと呼びます。
(釈迦族の王子であったため、「お釈迦さま」と呼ばれます)
「存在したと推測される」と書いたのは、今現在、2500年前の「お釈迦さま」に会ったことや、見たことがある人は、おそらくいません(?)。
残された経典に描かれるような、人間離れした伝説的な人物として存在したのか、断定はできません。
古来から伝わる多くの文献や、インド各地の石柱に掘られ碑文、発掘された骨壺などから、紀元前にそのような人がいて、仏教を広めたと推測されています。
仏教学者の中村元さんは、「ブッダ(お釈迦さま)は複数人いたのでは」という説を唱えていました。
また、古代から伝わる文献は後の時代の編集や改変、物語の付加も見受けられ、伝わっていることすべてが、どこまで正確であるのか確定できないのです。
仏教電話相談で、質問者が、
「お釈迦さまの誕生日は、何年何月何日ですか?」
とお坊さんに問い、担当したお坊さんが答えられず、
「そんなことも知らないの?」
と言われ、困ってしまったという話があります。
お釈迦さまの誕生は、いろいろな説があるのですが、おおよそ、2500年前(紀元前500年)くらいだと考えられています。残念ながら、それ以上のことはわかりません。
もちろん、今の暦でいうところの、「何月何日が、誕生日」であるかもわかりません。
世の中にはたくさんの仏像がありますが、当時は写真もなく絵も残っていないため、実際のお顔や姿も、全くわからないのです。
私としては、多くの文献や資料の描くそのままではないとしても、しっかりと残された莫大な教えや体系的な仏法・修行法、具体的な戒律、物語を読む限り、お釈迦様は2500年前のインドに存在し、多くの方々に慕われ仏教を広めたと確信しております。
この「初期仏教のお話」では、お釈迦さまが生まれたと思われる2500年前より、少し前の時代から、お話を進めたいと思います。
(注・補足)
・古代のインド一般から初期の仏教については、中村元「古代インド」(講談社学術文庫)などが、体系的でわかりやすくお勧めです。
・「初期仏教のお話」では、Pāli Text Society版のパーリ仏典を使っています。
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